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少年期のいじめの境遇から一念発起~

まさるは田舎の道場主ー28-リハーサル

我が 祖父は棟梁の裁量で秘技を尽くす

弓道場の見所は奥行き2.7X幅9メートルに、15畳敷きで高さが武道場と同じ30センチ、本座の後ろにも畳を7枚横に敷いてある。正面の見所には、幅40センチの無垢板でテーブル代わりのカウンターが取り付けられ、的前を見る看的窓は長めの楕円形で飾られて、お洒落な雰囲気だ。
祖父は記録掛かりとして、3か所に3脚をセット全部ニコンの一眼で、リモコンのテストをしている。3台のカメラが同時にシャッターが切れるようで、道場は効果で全体像2台目が射位の前園先生を、3台目が的前の第2介添えと観客も俯瞰する感じで高めにセットしてある。もう一台が動画用で、神棚の脇に取り付け、これも波長の違うリモコンでテストしていた。
まさるは射場の脇の廊下で、巻き藁を架台から下ろして、射場脇に移動していた。続いて昨日宅配された紅白幕を、紅白のロープに通して張って見た。祖父も傍に来て、手を貸してくれて大体目安が出来た。祖父が側壁の板張りを見ながら
「しょっちゅう使う物でないから、目立たない所に釘を打って置こうか」と、言って釘箱と金づちを持て来た。頭の小さい長めの釘を板の継ぎ目に、斜めに打って1.5メートルの幕を取り付けてみた。
「そのうち、この辺にお知らせの模造紙などが貼られるだろうから釘はそのままにしておいても大丈夫だよ」と、棟梁が念を押す。

 

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淡いいろのオダマキも好きな花です(^^♪

朝食前の道場開きの体配の復習

3人は、朝食まえから、普段着のまま矢渡しの所作を擦ぞって(ナゾッテ)居る。
「しばらくやって居ないから、流れが悪いねぇ」と、前園師範が照れている。
「先生、無茶なお願いで申し訳ありません」と、彩音さんが謝る。
「彩ちゃんは、何回ぐらいなの動きが良いね」と、先生が感心する。
「彩ちゃん、ここで練習して居たんでしょう?」と、中村さんも額に汗が見える。
「彩ちゃん、第一を遣ってよ、道場主が矢取りじゃ、申し訳ないもの、ねぇ先生?」
「そうだね、五段だから錬士も近いし、射場でやってごらんよ」と、もう一回やって終りにしましょうか」と、先生が弓を手にする。

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 香織さんがモーニングサービスに奮闘

香織さんに、朝食の支度をお願いしたので、ご飯は予約炊飯で炊けていた。他にトーストも焼くばかりにセットした。コーヒーはさっきまさるがドリップし、保温状態で良い香りが漂っている。紅茶も用意したが、パックだからお好みで淹れてもらう。
ここまでやって、まさるが道場に様子を見に行って、巻き藁の話が聞こえたので、廊下を回って取り出した訳だ。

最後の練習で、気になる所で動作を止めて3人で確認しながら、区切りがついた。
「和服を着てから2回か3回やりますか?」と、中村さんが聞く。
「うんそうだね、ナルちゃんは初めて着る紋付きだから、たすきをしなくとも足さばきなど、やって居た方が良いかもね」と、まるで女学生の打ち合わせと同じだ。

師匠正統の道場開きに切り替える

「じゃここで、今日の順序を若干変更しますから、覚えておいてね」と、彩音さんにメモの仕草。先生は、正統の道場開きを決意したようで、A4用紙とボールペンを持つ
「道場開きは、地域の伝統的な仕来りもあるが、標準的な4つの儀式を遣ります。
①鳴弦の儀②垜固めの儀③矢渡しの儀④巻き藁謝礼の儀
「①最初に、矢渡しと同じ配置で、2人の介添えは入場して正座で座礼した位置にとどまり、私が射場の四隅に、弓がけもせず、矢をつがえず空弓を少し引き離す(鳴弦の儀)を行います、これは、かなり大きな声を発します。

②2番目に、(垜固め)を行います、射手が3本の矢を右後ろの帯に差し、矢道の途中に出て矢道の左端の地面と垜の白扇に一本放ち、体を半回転して1本目の反対、矢道の右手前の地面に放ちます。矢取りは一通り終わってから抜いて下さい。矢の戻しは、通常の所作の体配に戻ってください。
③3番目が(矢渡し)で、中央にカスミ的を掛け一手放ちます。通常の礼射です。
④4番目が巻き藁礼射で、架台ごと射場の中央に巻き藁を移動し、彩ちゃんが、礼装で一手射ってこれが道場主の(礼射)になります」
準備としては、垜には、最初白扇を中央に掛けて、矢渡しの時にカスミ的に変える。矢渡しが終わったら、射場の中央に巻き藁を移動して、通常の巻き藁の位置より距離をとって、第2介添えは巻き藁から4メートル位な晴れて起坐。的前と同じ流れですね。
礼者の介添えは、私が第一で、第二がナルちゃんで良いかな?彩ちゃんは、本座でたすき掛けしますか?」

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本座でタスキ掛け       参照画像:教本のイメージ画像

「はいっ、やらして頂きます」と、彩ちゃんが返事する。中村さんは、
「はいっ、一つ良いですか」
「なんでも、先に聞いて置いて下さい」
「垜固めの、矢取りはどのタイミングでしょうか?」
「これは3本とも別の場所に射る訳で、後で3本まとめて抜いて頂き返して、戻しは通常の礼射と同じになります」
「はいっ、分かりました」と。2人が同時に返事する。
脇で聞いていた祖父が、う~んと唸るような仕草で、感心し立ち上がった。まさるは入り口近くで、何故か跪坐で控えている。同期の弓道五段の2人は正座で聞いている。
祖父は、リハーサルで3人の動作が思い出しながら、カメラの角度やレンズを取り換えて、ピントを合わして居る。まさるも彩音さんから白扇を受け取り、垜に行き中央に掛かって居たカスミ的を外して、候串を差し替えて、射場の矢道側に草履を揃える。

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古川から大挙観客が到来

その時、香織さんが
「そろそろモーニングサービスを、開始しますよ~」と、声を掛けてくれた。
中村さんが、
「そうだよね、未だ何も食べて居ないんだね、なんか力が入らないと思った~」と、一番先に声を出したのは中村成美錬士五段だ。
「こらこら、端(ハシタ)ないですよ、錬士五段は射品高く、精励に功あり言われていましたね」と、朝飯前に小言を一発。
その時、玄関が開き
「あれっカギが開いているよっ」と、豊さんの声がする。古川から車2台で15~6人が降りてきた。祖父が驚いて
「こんなに観客が居るなら、ひとり一万くらいの 入場券を発行するかな」と、笑う。
「あれっ、お早うございます」と、お客が居るのに気付き慌てて頭を下げる。
「何を慌てているのよお兄ちゃん」と、落ち着いたか香織さんが、大人の様だ。
「そうだ君たち、学習ロビーで待ってくれないか」と、祖父がみんなに伝える。
「はいっ分かりました、香織お湯が沸いてるかな」と、豊さんコーヒー党らしい」
「はいっ大きなポットに3本有ります、こちらはコーヒーをドリップしましたから、持ってゆきます」と、香織さんも甲斐甲斐しく動く。花代さんが持ってきた、紋付きを香織さんが預かりダイニングに持ってきた。

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思い入れの道場開き宣言

ダイニングの6人も、食後の飲み物にデザートの果物で寛いでいた。前園先生が、
「柏木様、突然の事ですが少し思い入れが有りまして、単純な矢渡しだけでなく古式の道場開きを披露しますので、少し時間が掛かります」と、祖父に了承を得る。祖父は
「はい先ほど道場の傍らで拝聴しました、こちらこそ孫たちのために伝統の儀式を執り行って戴くのは、大変恐悦です有難うございます」と、礼をしている。
「まだ時間が有りますから、鳴り弦と、垜固めをなぞって見ます、私も10年くら前に経験していますが思い出しながら、やってみます」と、二人の介添えの顔を見る。頷く2人も緊張気味で、香織さんが古川から届いた、包みを持ち上げて中村さんに差しだした
「お借りします」と、受取り前園先生の後に続いて、和室の方に行く。彩音さんも
「香織さん、申し訳ないけどお願いしますね」と、言うと
「片づけだけですから、直ぐですよ何かあったら、おかぁさんに頼みますから~」と、あかるい調子だ。 


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